
祀られている神様
紹介
北埔老街(ほくほろうがい)の起点は、慈天宮(じてんぐう)の石条を敷き詰めた廟埕の上にあります。新竹県北埔郷にあるこの県定古跡は、県内で最も代表的な客家(ハッカ)信仰の中心であり、北埔集落全体の核となる地標です。主祀は観世音菩薩(かんぜおんぼさつ)で、客家の「観音を第一とする」典型的な信仰です。廟の平面は広東客家の「双堂二横」の格局に近く、三川殿は砂岩彫刻を見どころとします。歩口軒廊のあの石彫りの蟠龍柱は、左右とも上へ盤る「昇龍」の造形で、台湾の廟では珍しい手法です。廟内にはさらに二組の「二十四孝」石柱があり、彫工は細密で、これも全台湾で稀に見るものです。休日、廟埕から老街へ歩き入れば、観光客が引きも切りません。
歴史
慈天宮の生い立ちは、漢人による北埔開拓と切り離せません。清の道光14年(1834年)、広東人の姜秀鑾と福建人の周邦正が「金広福墾号(きんこうふくこんごう)」を組織し、新竹東南の山地を開墾しました——廟に祀られる観音菩薩は、姜秀鑾が自ら中国大陸から奉迎したものと伝えられます。道光20年(1840年)、姜秀鑾はこれを木造の廟に改築。同治13年(1874年)には姜秀鑾の長孫・姜栄華が再び大改築を行い、両廊と前殿を増築して、今日の「二殿・二廊・二横屋」の格局を定めました。光緒末年の「北埔事件」(1907年)では、慈天宮は重要な拠点ともなり、この廟に一頁の深い歴史を書き加えました。