伝説
文昌帝君は、天上で「文運」を司る星君であり、人の世の学問や試験にまつわることは、すべてこの神の管轄です。民間には、こんな味わい深い話が伝わっています。
ある書生が、何度受けても落第し、気落ちして、もうあきらめようとしていました。すると、ある夜の夢に文昌帝君があらわれ、こう告げたのです。「お前は頭が足りないのではない、努力が足りないのだ。帰ってもう一度、書を読み直しなさい」。目を覚ました書生は発奮して勉学に励み、はたして見事に合格を果たしました。
この話の眼目は、「拝めば受かる」ということではなく、文昌帝君が助けるのは努力している者だ、ということです。願いをかなえる自動販売機ではなく、むしろ厳しくも公正な先生のような存在——読むべきものを読み終えれば、本番の運は帝君が受け持ってくれます。けれど試験前にゲームばかりしていたなら、いくら拝んでも無駄。文昌帝君には、ちゃんと見えているのです。数ある神様のなかで、この神はおそらくもっとも先生に近い一柱でしょう。
