伝説
阿弥陀仏の物語は『無量寿経(むりょうじゅきょう)』に由来します。はかりしれない昔、一人の国王が仏法を聞いて深く胸を打たれ、驚くべき決断をしました。国をまるごと捨てて出家し、修行の道に入ったのです。その法名を法蔵比丘(ほうぞうびく)といいます。法蔵比丘は世自在王仏(せじざいおうぶつ)の前で四十八の大願を立てました。なかでもっとも肝心なのが第十八願、「十念必生(じゅうねんひっしょう)」——いかなる衆生であっても、心から信じ喜んでわが国への往生を願い、命終わるときにたとえ十度でも仏号を称えるなら、わたしは必ず迎えに行く。この願がかなわぬなら、決して仏にはならない、という誓いです。
はかりしれない劫の修行を経て、四十八の願はひとつひとつ満たされ、法蔵比丘は仏となりました。その名が阿弥陀です。願の力によって成った西方極楽世界は、黄金が地を敷き、七宝(しっぽう)の池に蓮の花が咲き、空からは曼陀羅華(まんだらげ)が降りそそぎ、いっさいの苦しみが存在しない世界でした。一人の国王が、目に見える江山(こうざん/国土)を捨てて、あらゆる衆生を受けとめる浄土と引き換えた——だからこそ千年ののちも、これほど多くの人が、人生の最後の一瞬に称えるのは、この仏の名なのです。
